2013年08月15日

SS(スクリーンショットではないw)

 そもそも青色の肌、なんていうのは死人を連想させるものであるし、こと緑色の肌に至っては、は? 葉緑体持ってんの? あなたは植物なの? 日光と水で生きていかれんの? 等、そんな薄気味悪い外見の人種は、あまり隣人として歓迎出来るものではないだろう。

 辺境に住まう集団というより、ただ単に都市生活に順応出来なかった人たちの集まりなのかもしれない。

 しかし、田舎でひっそり自給自足の生活を行うロハスな村ライフ、なんていうのはそれこそファンタジーなのであって、少数が多数によって駆逐されるは世の習い、時の権力者によって有効な土地はたちまち収奪され、住まうには危険の伴う地、収穫の実らない痩せた地などにしか、辺境ライフはあり得ない。

 辺境人とて喰うていかねばならんのです。自給自足が行えないのなら、経済活動によるしかないが、それとて元手がなければ全てがわやだ。いきおい、追いはぎ、人さらい等、反社会的活動が「私の生きる道」となるのは、安易な発想だらうか。

 その青年の村では、公式には「ダメ!絶対!」的に禁止されている植物の栽培、精製等に携わる産業を主な生業としており、反社会的とはいえ、アンダーグラウンドなハードコア活動をするでもなく、比較的経済は潤っていた。その代償として、来る者は拒み、去る者は絶対許さない、という性格を村が帯びるのは、致し方のないことだらう。

 そんな超閉鎖社会はとてもいやだ、と青年は思っていた。

 外の世界に出たい。自由な暮らしがしたい。堕落した安寧より、死せる飢狼の自由を「それは俺が人として生まれたからだああああああああああ!」ということは余り思っていなく、早朝から始まる農作業がまじ辛い、遊んで暮らしたい、綺麗な女の子と朝まで遊んでほたえたい、何より、こんな美しい俺がこんな寂れた僻地の村で近所のブスと結婚させられて老いて死んでくなんてヤダ、というのが主な理由だった。

 でも伯父さん怖い、まじ怖い。伯父さんは、村の顔役だ。顔も悪いが、性格も悪い。というのは、身内の贔屓目だらうか。村から出たいなんて言おうものなら、命があるだけましだというくらいの制裁を覚悟せんければなるまい。

 青年に両親はなく、幼い頃から双子の妹と共に、この母の弟夫妻に育てられた。母は、超閉鎖的社会にあって例外的に自由な女で、ぶらっと外に出て行ったかと思えば、前触れなしに村へ戻って来て、双子を産んだらまた気まぐれに出て行くという、ある意味、超人。青年も、幼い頃は人並に母を恨んだりしたが、長ずるにつれ、憧れというか、羨ましいというか、そんな気持ちの方が強くなってきた。妹は、一貫して母を蛇蝎の如く嫌っている。

 それはともかく、一生不自由な身をやむなくしている囚人にとって、終末の予言は、或いは福音に聞こえるのだろうか。少なくとも青年は、それに似た気持ちを抱いた。

 落ちてくる月が大きくなるにつれ、どうせもう終わりだ、的な雰囲気が村を包み、未来を儚んで自死するもの、商売道具に手を出して現実逃避のハッピーに溺れる者、エトセトラ、エトセトラ。

 さしもの伯父さんも、どうせもう終わりだからね、みんな好きにしていいですよ、とすっかり柔和なオッサンと成り果て、裏庭で野良猫と戯れるなどしていた。ああ、伯父さんって、ほんとはこういう人だったのかな。知るか、そんなこと!

 金目のものをかき集め、これ幸いにと青年は村を飛び出した。出て行ったところで、どうせ同じなのにな。或いは、これが若さというものか。というか、青年とて半ば自棄。どうせ死ぬんだからと、現実逃避する人たちと心境的には何ら変わるところはなかった。

 しかし村ではただ一人、村からの脱出を幼い頃から現実的にシュミレートし続けてきた人間がいた。

「あにじゃー、あにじゃー、わしも連れてけー」と青年の後を追いかけてきたのは、双子の妹だった.

「勝手にしやがれ。足手まといにだけはなるな。何があっても助けはしないからな」と青年は舌打ちしながらも応と答えたのは、やっぱり一人では寂しいという心の弱さ故か。

 妹は、女であるという立場上、村では兄以上に辛い生活にさらされていただけに、切実に村からの脱出を幼い頃から夢想し続け、実際に独自の修練・情報収集に努めてきた。最寄の人里までのルート、空や切り株から割り出す東西南北の把握の仕方、危険動植物と出遭った際の対処法、等。但し、定期的に村に来る業者、村近辺の自主的探検がもとの独学が故、色々な意味において頼りないものではある。

 本当は、狩猟を嗜みや生業にしていた出来れば若くてイキの良い男子の相棒が希望だったが、この兄しか現在の絶望的状況で生に繋がるアクションを起こせていないのだから、仕方ない。こんなのでも一応は男。いないよりかはマシだろう。

 そんな妹の期待は、あっさりと裏切られることになる。

 全くの役立たずだったからである。

「待て−! お兄ちゃんを置いていくなああ!」と、わりとまじで泣きべそかいて助けを求めるのは、いつも青年の方だった。足手まといになるなと、助けはしないと、言ったのは誰?

 はっきり言って、青年が今こうして元気に暮らしているのは、妹の類まれな天性のサバイバー能力と、情の深さに他ならない。

 九死に一生を得る程の行程の果て、廃墟となった人里で難民化した集団と合流、比較的被害を免れた都市にて住を求め、そして現在に至る。

 妹は、難民生活で一緒になった同族の男子と縁結ばれ、過日、結婚を果たした。実に働き者の、それでいて気の優しい男だ。めでたし、めでたし。

 否、めでたくない。

 兄がろくでなしだったからである。

 それでも、都市の復興時には真面目に働いていた。額に汗するって、素敵だな。それが皆の笑顔に繋がるっていうのなら、こんなに嬉しいことはない。なんて、気持ちの悪い笑顔で言っていた。

 それが2年、3年も過ぎ、復興にも目処が立ち始め、いきおい歓楽街も息を取り戻し始めたら、もう駄目だ。青年は、労働もそっちのけに、いわゆるノム・ウツ・カウに現をぬかし始めたのである。まだ自分で稼いだ金で遊んでいるうちは良かったのだが、それも尽きると今度は妹夫妻のツケで遊び始めやがった。

 ぶっ殺す、わりとまじでぶっ殺す。

 妹は脳の血管がぶち切れるほど憤慨したが、旦那が、このろくでなしな小姑に対して、異常な程の優しさを示すのだった。

「仕方ない、お義兄さんは博徒なんだよ」「いいなあ、そういう生活憧れちゃうなあ」「いいですよー、ぼくが2倍働けば済む話ですからー」「いつか倍になって返ってくるんですよね、でかい、でかいなあ、お義兄さんはMr.BIGですよ」等々、いつも出来の悪い義理の兄を庇うのだった。超あまあま。

 青年は、なんて便利……じゃなかった素敵な男と家族になれたんだろう。こんなに嬉しいことは、ない。と喜びに浸っていたのだが、最近ふと気が付いたんだ。

 借金の肩代わりの額が増えるにつれ、義弟と自分の話す距離がだんだん近づいてきていることに。最近ではもう、何かあるごとに体にぺたぺた必要以上にお触りしてきやがる。これってもしかして。

「こいつは妹よりも本当は俺に気があるんじゃねえか!」

……疑いが芽生えた。わりとまじで。

 それも良かろう、なんて思えるかバカ。兄妹で貞操を奪われ、これでもう義理じゃないね、僕たち本当の兄弟だよねって、ふざけるな!!!! 笑い話にもなんねえ。

 さすがに青年もバージンを捧げる気にはなれず、心を入れ換え、真面目に働くかーって決めたのだが、新しい職場で、親方に怒られ、年下の同僚に嘲られ、もう、心がくさくさしちゃう。飲まなきゃやってらんねえよーって、初日の仕事帰りに憂さを発散する為に朝まで豪遊、一日の日当の10倍のお金を浪費してしまった。真の兄弟確定か。

 泥酔した頭で幽鬼の如く街を徘徊、気がついたら郊外の家の前。朝焼けが綺麗だな。俺はこれからどこへ行くんだらう。あてなどない、人生は常に冒険だ。そうか冒険者か。それも悪くない。何より、響きがかっこいいじゃないか。ちんけなクソ労働なんて、性に合わなかったんだ。俺がこんなに働くのが嫌いなのは、クリスタルからの警告だったんだ。道を間違うなよ、と。冒険者となって、世界を救えって。そういえば、耳を澄ませばクリスタルの声が聞こえるよ。決して、これは幻聴なんかじゃないよ、ないんだよ。うふふふふ。

 ふらふらと朝日に向かって歩き出す、黄土色の台地に長く伸びるのは、影。明日は、どっちだ。
posted by ピエール at 18:05| Comment(2) | SS(妄想小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
巨人が進撃するようなお話かと思って読み進めていったら何故かクリスタルに繋がったでござる。

あれ・・・この青年の名前ってもしかしてピ・・・(察し)


これあれですよね、Oβ始まると青年のその後のSS(スクリーンショットではない)が更新されるんですよね。期待しちゃおうw
Posted by メル at 2013年08月15日 22:07
お読み頂いてありがとうございまする(/ω\)

わりとまじで恥ずかしい><

世界設定に自信がなかったので、実はクリスタル以外は固有名詞は避けてあったりw

どうでしょう、冒険者になるまでを描くつもりが、終わってしまいましたからねw

つか進撃の巨人ネタが伝わって嬉しすです(*´Д`*)
Posted by ピエール at 2013年08月16日 02:12
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